"定期を無くす"という大失態を晒すので酒の肴にしてくれ



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定期入れを無くした。

 

一大事だ。 由々しく重大で非常で大変でとにかくまずい事態なのである。

 

定期入れの中に入っていたのは、定期券&クレジットカード( PASMOオートチャージ付き)、 ショッピング用クレジットカード、キャッシュカード、免許。 個人情報の全面的な開示をしたあげく、 悪用してくださいと言わんばかりの各種カード紛失となってしまっ たぼくは恐れおののいた。

 

本当に身体が震えた。頭の中は「 終わった」の一言でいっぱいになった。

 

定期入れを無くしたことに気付いてからのぼくはあまりにも無残。 仕事で予定していた待ち合わせ時刻には遅れ、 当日中に提出する資料の作成をすっぽかし、 移動中はゲームに現実逃避してしまう。

 

結果から言えば、定期入れは奇跡的に見つかった。 今は定位地である右ポケットにスッポリと入っており、 今日も電車や買い物のお供として大切に扱っている。

 

終わりよければ全てよし、というものの……今回はたまたま" グッドエンド"で終えることができただけ。"バッドエンド" を迎える可能性も十分にあった。 これがゲームであれば全てのエンディング回収に勤しむところだが 、あいにくぼくは現実世界に生きている。リセットは効かない。

 

ならばこの失敗、糧にするしかない。 恥を承知で書き連ねてやろう。

 

そして人の恥は蜜の味。読者は酒の肴にして思う存分食い散らかしてほしい。

 

朝~定期入れを無くすまで

事件が発生したのは連休明けの月曜日。 普段は会社に出社しているが、その日はお客様先に直行だった。 作業内容は無線電波の調査。 両手いっぱい塞がるほどの大荷物が必要だ。 周りに迷惑そうな顔をされつつ満員電車に乗り込んでいく。

 

遠方のため1時間半以上の長旅で、更には電車遅延が発生。 待ち合わせに遅れる可能性があり、 社用携帯で先方にショートメッセージを送った。

 

「電車遅延の為5分ほど遅れそうです」

「分かりました」

 

道中も会社からチャットワークで連絡が飛んでくる。 確認と返信を何度も繰り返すことになり、 途中で運よく座れたにも関わらずゆっくりする余裕はない。 その時に社用携帯はスラックスの"右ポケット"に入れていた。

 

目的に駅に到着し、先方へ「今駅につきました」 とショートメッセージを打ち電車を降りる。 改札を目前としたところで、いつも通り右ポケットへ手を伸ばす。 定期を取り出す為だ。

 

……??

 

ない。何も入っていない。

 

おかしい。左手には社用携帯。右手には何も持っていない。 この状況なら、右ポケットには定期がなければいけない。

 

……まさか。落としたのか。

 

今まで一度もなくしたことのない定期を。

 

うそだろ。なんてこった。信じられない。あと一歩で改札を出て先方と落ち合う。 そのまま事務所に向かい難なく作業を開始するはずだった。

 

血の気が引いた。身体が震えた、定期が無い。 つまり一緒に入れていたクレジットカードも免許もキャッシュカー ドもない。ここで頭が勢いよく回る(悪い意味で)。 仕事にも遅れる。カードは全て停止した挙句再発行、 全ての登録しなおし。銀行に行ってキャッシュカードも作り直し。 免許の再発行も必要だ。そのために休みも取らなきゃいけない。 時間も金もかかりまくる。そもそも現時点での財産が2000円。 ここから移動にタクシーを使う。帰れるのか。 今日一日どう過ごす。というか仕事。そうだ、 目の前に先方がいる。やばい。

 

脳内パニックだ。 先のことを考え過ぎる悪い癖が遺憾なく発揮される。

 

しかし意外と身体は冷静に動いていた。 改札横にいる駅員へ声をかける。

 

「車内に定期を落としたかもしれない」

「忘れ物はホームの事務所にお願いします」

 

マジか。一分一秒を争うこの状況でたらいまわしか。 駅員は何も悪くないのに悪態をつきながら事務所に向かう。

 

「車内に定期を落としたかもしれない」

「どの電車か分かりますか?」

「ついさっき、この駅で終点を迎えた電車です」

「あ、その電車ならまだ止まってますよ」

 

慌てふためいてたせいで視界に入っていなかった。 乗ってきた電車は折り返し運転のために停車している。

 

「あと何分で出ますか?」

「2分ですね」

 

猛ダッシュ。わき目もふらず電車に向かう。 残念ながら反対のホームに止まっていたため、 大荷物を持ったまま階段ダッシュするハメに。 今世紀最大スピードで階段を上ったと思う。 急いで電車に乗り込んだ。

 

……まずい。何号車に乗っていたか分からない。 しかも半数以上に席に人が座っている。どこだ、ぼくの定期。

 

早歩きで散策するも視界が悪すぎる。見当たる気配がない。 いっそ大声で「定期落ちてませんでしたか」と叫ぶか。 悩む間もなく発車ベルが鳴る。まだ3号車分しか見ていない。 くそ、ダメか。

 

諦めて電車を降りる。空しく去っていく電車。妙に天気がいい。 ぼくの心とは正反対だ。こっちはスコールだよ。雷付きでな。

 

再び事務所に向かい、捜索依頼を出す。

 

「 号車が特定できていないので、すぐには探せませんね。 乗車した人が拾ってくれるか、 もしくは終電終わるまでかかるかもしれません」

 

泣く泣く頷き、連絡先を伝える。あとは奇跡を待つのみ。 電話は非通知でもらえるとのこと。 そのあと常に着信が無いか意識していたのは言うまでもない。

 

定期紛失~仕事終わりまで

現実は非常だ。時は止まってくれない。会社勤めである以上、 目の前にある仕事は全うするべきだ。改札を出て先方と合流する。 遅れたことを詫び、タクシーで現場へ向かう。

 

タクシー乗車中に、先方と運転手に一言断りを入れて電話をする。 相手はクレジットカードの管理会社だ。 機能を一時停止してもらいたい旨を伝えると、 担当のものが不在の為に折り返し待ちとなった。

 

そうこうしているうちに現場へ到着。 認識合わせの打ち合わせ後に作業開始だ。 携帯が鳴っているのは気付いている。 クレジットカード管理会社か、駅のどちらかだろう。 早く電話に出たい。しかし仕事中だ。 何食わぬ顔で進めているが全く持って落ち着かない。 ミスだけはしないように細心の注意を払いつつ業務をこなす。

 

昼休みに突入した。先方にはコンビニへ買い物に行くと伝え、 歩きながら携帯をチェックする。 先ほどの電話はクレジットカード管理会社からだった。 停止手続きの前に色々と説明を聞き、以下について確認が取れた。

 

  • 一度停止するとクレジット機能は使えず、 再発行時は番号が変わる。
  • 付属しているPASUMO機能とオートチャージは止められない( ただしオートチャージは一日の限度額までしか使われない)
  • 定期機能も止められない。定期、 PASUMOは駅で手続きする必要がある。
  • クレジット利用は申告から61日以内なら無効に出来る。

 

つまり現時点で使われて損害となるのはPASUMO部分だけだという。ふむ。もしかしたら今日の終電が終わったら見つかるかもしれない。 止めたら全てやり直しだ。とんでもない手間になる。

 

ぼくはまだカード一時停止はしないと判断した。上記は定期+クレジットのカードだが、買い物用クレジットカードも同様だ。 不正利用を無効にできるのなら、まだ慌てるような時間じゃない。

 

そうなると大変なのは免許とキャッシュカードか。 それぞれ紛失した時の対応方法を調べたところ、非常に面倒だ。 全てのカード類を対応することで平日を丸一日使う上に、 お金もかかる。再発行が済んでからの作業も膨大だ。 不安に押しつぶされる。

 

集中している時間はあっという間で、 すぐに昼休憩が終わってしまった。 ひとまず今できることはやった。あとは定期が見つかるかどうか。 よし、仕事に集中しよう。本来は明日までかかる作業だが、 今日中に終わらせよう。 そうすれば明日休みを取って再発行手続きができる。

 

決意した通り、なんとか一日で作業を終わらす。 上司にも定期紛失した旨を伝え、 見つからなかったら明日休みをもらう旨も伝えられた。 財布の現金は1500円。帰宅までかかる電車賃は1300円。 数年ぶりにきっぷを買い電車に乗る。もうなるようになれ、 と半ば諦めて社内で読書とゲームに勤しんだ。 なんとか家にたどり着いたときの残金は200円。 近くに銀行がないので通帳でお金を下ろすこともできない。 晩御飯は解凍白米と納豆という質素メニューに決定した。

 

奇跡の到来

クレジットカードとキャッシュカード、 両方無くすとこんなにも不安なのか。 不要な時間とお金の出費が苦手なぼくは泣きたくなる思いを抑えな がら、やるべきタスクを整理する。

 

本来であれば好きなゲームで実況を撮り、 企画しているオフ会の準備を進め、 炊きたてのご飯で旨い飯を食うはずが……。

 

頭を抱えているところで携帯が鳴る。電話だ。表示は"非通知"。 ドキリとした。これは、まさか。

 

電話にでた。心臓がバクバクしている。

 

「紛失連絡を受けていた物、みつかりました」

 

奇跡だ。奇跡が起きたぞ!!

 

明日の午前中に向かうことを伝え、すぐに寝た。 何かやらなきゃいけないことがあったかもしれないが、 この状態では手をつけられるはずもない。

 

翌日、上司に午前半休をもらう連絡をして駅に向かう。 事務所に到着。落とし物を出してもらった。それだ、 その紫色の定期入れは俺のだ!!

 

中身も全て揃っている。後ほど調べたが、 PASUMOに入っている残高も変わらなかった。

 

どうやって見つかったまでは聞けなかった。 駅員が凄まじい索敵能力を発揮して見つけてくれたのか、 はたまた電車に乗っていた仏のような人が届けてくれたのか。 どちらにしても感謝しかない。ありがとう。本当にありがとう。

 

紛失の原因

原因はハッキリしている。 普段は右ポケットに定期入れしかいれないが、この日に限っては社用携帯も右ポケットに入れていたのだ。

 

以前はジャケットを羽織っていて、 社用携帯を内ポケットに入れていた。 最近は厚くなったことでジャケットを着なくなり、 社用携帯は行き場を失った。シャツのポケットに入れると、 屈んだタイミングで落ちてしまうので却下。( 特に両手が塞がっているときは)

 

左ポケットには私用携帯が入っている。 携帯2台を同じポケットに入れるのはぶつかり合って画面が傷付く 可能性もあり避けていた。

 

更にこの日は社用携帯でのやり取りが多く、 何度もポケットに出し入れしていた。 その際に定期入れも落ちてしまったんだろう。 つまるところ単なる不注意だ。

 

今後は右ポケットに定期入れ以外を入れない。"絶対"にだ。 そうすれば解消する。

 

最後に

ちなみに当日やらなければいけない資料作成( エンジニアの仕事とは別で、キャスターとしての活動) をスッカリ失念し、翌日急いで対応した。 自分で昨日中にやりますと言ったにも関わらず遅れ、 信頼を失う結果となっただろう。 人は不測の事態が発生した時にこそ、実力が現れるという。 ぼくはまだまだのようだ。

 

また、過去に財布を2回ほど無くしたことがある。 入っているのは現金と会員カード類のみなので今回ほど慌てなかっ たが。やはり定期入れにはすべてが詰まっている。 もう絶対に無くしたくない。いや、 もちろん財布もなくしたくないが。

 

これが最後の笑い話になることを切に願う。