ドラマーは耳栓必須!?難聴になる前に手を打て!音響外傷はマジで怖い!



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かれこれ6年ほどドラマーとして活動してますが、一時期ものすごく恐ろしい出来事に襲われました。
 
み、耳が聴こえない…!!!
 
結果として無事治りましたが、未だにあの時の恐怖は忘れられず、耳栓を手放せなくなりました。
他のドラマーさんに同じ経験をしてほしくないので、練習中もライブ中も耳栓をお勧めします。
 
なお、今回はドラマー向けに書きますが、実際にはバンド形式のミュージシャンと、ライブハウスに遊びに行く人達みんなにも是非お勧めしたいです。
アリーナみたいな大きい会場ではなく、キャパ~300くらいの会場だと、一般の方でも耳を壊す可能性は全然あるので…。
 
どんな風に耳が聴こえなくなったのか。どんな症状が起きたのか。どうやって治ったのか。その一部始終や対策などについて書いていきます。

事件は、とあるライブがきっかけ

あれは2~3年前のこと。キャパ100人弱の小さな会場でライブすることになりました。
 
その時には同期バンドという形だったので、クリックをはっきり聴くために両耳に専用のイヤホン(遮音性がすごいやつ)をつけてドラムを叩いてました。
 
自分のドラムの音やボーカルの声などは、ドラマーの近くに置いてあるモニター(大きいスピーカー)から流れきて、聴き取ります。ただ、イヤホンの遮音性がネックとなり、通常よりはかなり聴こえにくくなります。
 

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なので、モニターから流れてくるドラムの音(具体的にはバスドラ)の音を一番大きくしてもらいました。にも関わらず聴こえない。うーん、びっくりするほど聴こえない。
 
よし、片耳はイヤホン外してやってみるか!
 
これが悪夢の始まりとも知らずに。

ライブ終了→数日立っても聴力が戻らない

ライブ中は当然片耳だけ爆音です。モニターからの音もそうだし、自分で演奏してるときの音もです。特にシンバルは耳のHPをゴリゴリ削っていきます。ずっとキーーンって鳴ってる感じで、耳に膜が張られてるみたいな感覚になりました。
 
で、ライブが終わって一息ついたら治るかなーと思っても全然変わらず、ずっとライブ中のような感じ。
 
「ま、片耳でやっちゃったし、しょうがないか。寝れば治るっしょ」
 
くらいの軽い気持ちでいました。
 
で、寝ました。
 
起きました。
 
治りませんでした。
 
むしろ悪化してました。
 
聴こえるっちゃ聴こえるけど、今までに味わったことの無いほど違和感。ためしにイヤホンつけて音楽聴いても、左耳は70%カットしたくらいの音にしか聴こえなくて。このあたりで冷や汗びっしょり。なにこれ。やばい。聴こえない。え。ぼくアーティストだけど。聴こえないとか。絶望。
 
すぐさまGoogle先生に聞いてみました。そこで初めて見つけた病名。「音響外障(おんきょうがいしょう)」でした。

音響外障ってなに?

Wiki先生から引っ張ってきました。
ヒトは、ある程度の強さの音までならば問題なく処理できるが、その限度よりも強い音が入って来ると、内耳などにダメージを受けてしまう。これが音響外傷である。そのようなことを引き起こす強力な音に曝された直後から、耳閉塞感や耳痛が起こり、その後、耳鳴りや聴力低下(難聴)が起きていることを自覚する。
 
~中略~
 
日常的に強い音に曝されているのでなければ、これらの症状が出ても自己修復能力によって回復は見込める。このような音響外傷は、比較的予後良好とされるものの、完全には回復しないこともある。さらに、日常的に繰り返し強い音に曝されることで音響外傷を受け続けていると、ついには不可逆的な難聴となってしまう。
ようは耳に強い音が入りまくってHPをゴリゴリ削られた状態のことです。
ぼくが一番ビビったのは赤字の文。そう、治らない可能性があるということ。この情報を得た瞬間の絶望感は尋常じゃなかったです。今でも思い出すと身震いします。
 
あまりにも怖かったのでその日は仕事でしたが半休もらってすぐさま耳鼻科に行きました。
 
ちなみに、外に出て分かったのは「平衡感覚の異常」です。ふらつくというか、真っ直ぐ立ちにくい。歩きにくい。それが結構激しくて、動揺しまくりました。こんなところにも影響あるのかと。しばらく歩いたら慣れましたが、ビビりましたね…。
 
こちらもWiki先生にも書いてありました。
また、耳は平衡覚や回転覚を感知する感覚器でもあるわけだが、強力な音に曝されることで、それらを感知する耳石器(卵形嚢斑と球形嚢斑の部分)もダメージを受ける場合がある。そうなるとめまいを感じたりもする。
 

耳鼻科で検査…予想通り音響外障

耳鼻科についてから、まずは症状の説明から。
 

医師「今日はどうされましたか」

ぼく「あ、あの、み、耳が片方聴こえづらくて…。お、音楽やってるんですけど、その関係で…。ちょっと平衡感覚にも違和感あります…。音響外障ってやつかもしれないですが…」

医師「あーなるほどね。よくあるやつだ。じゃ、いくつか検査するね」

 
よくあるやつなのか…
 
その後、いくつか検査をしてもらって、結果を見ました。聴力レベルと聴こえる周波数のグラフを見ながら。(その時の絵はないんですが、イメージとしてはこんな感じでした。数字は正確ではないです)

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医師「お疲れ様でした。ゆーきさんの予想通り、音響外障ですね」

ぼく「で、ですよね…(ガックリ…)」

 
愕然とするぼく。グラフを見てかなりショックを受けました。
で、一番確認したかったことを聞いてみる。
 

ぼく「これ、治るんですよね…?

医師「うーん、わかんないねー

ぼく「?!?!?!

医師「耳の細胞は一度死ぬと再生しないんだよねー。ダメージあるだけなら回復するけど。死んでるかどうかまでは分からないので、栄養剤飲んで様子見るしかないね。お疲れ様」

ぼく「(なんてこった………)」

 
こんなんすぐ治るよ!っていう回答を期待してたんですが、まさかの分からない発言…ビ、ビビる…。
 
とぼとぼ歩きながら出社するしかなかったです。

数週間後、復活……!

こんな栄養剤で治るのか…?ほんとに大丈夫なのか…?と思いながら、数週間過ごしていくうちに、徐々に聴力が戻ってきました。その後再度診察に行って、ほぼ正常に戻ったことを確認しました(100%前と同じ、にはなりませんでしたが…)
 
毎日不安しかなかったですが、戻って本当に良かったです。そして医師が最後に言った「耳は消耗品だから大事にしなさい」がずっと心に残ってます。
 
というわけで、ぼくはこんな感じで音響外傷にかかって、何とか治りました。次からは、ぼくが初診を受けた後に色々調べたり聞いたりして行った対策についてです。

対策1.耳栓をする

ぼくは個人練習時も、ライブを観てる時も、ほぼ常に耳栓をするようになりました。
耳栓と言ってもいくつか選択肢がありますが、ぼくはイヤープラグ(音楽専用の耳栓)を使ってます。一番お勧めです。
 
イヤープラグの特徴は「音質を変えずに音量だけ下げる」ことができます。モノによっては特定の周波数のみ聴きやすくしたり、逆にカットしたりも可能です。
 
ぼくが使ってるのは「ER20シリーズ」です。色はいくつかあります。紫があるからって買ったわけじゃないよ!
この耳栓の特徴は3つです
  1. 音のバランスをほとんど変えずにそのまま音量を下げてくれます。練習やライブの音も雰囲気を崩さず聴けるのが非常に助かる!
  2. 首に掛けれる紐をつけられます。耳栓を一時的に外したいなって思ったときに、首にかけれるのとそうじゃないのだと利便性が全然違いますね。
  3. 専用のケースがついてきます。ぼくはいつでも必ず持ち歩けるよう、キーケースにつけてる。かなり便利です。
難点は、他の人から見た際につけてるのがはっきりわかる点ですね。

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ちょっと値段はあがりますが、同モデルで出っ張らないイヤープラグも出てますね。
この耳栓はドラマー以外のパートや一般の方にもお勧めです。値段も手ごろなので持っておいて損はないでしょう。
 

対策2.イヤモニを導入する

同期バンドの場合は、バンド練習やライブ中にクリックを聴くためイヤホンしてると思います。このイヤホンに直接ドラムやボーカル等の返しを聴けるようにすることをイヤモニと言います(正確には違うんでしょうけど、こういう意味を表現したいときにイヤモニやってるかどうか、って言います)
 
メリットはなんと言っても、返しを自分の聴きたいバランスに出来ることですね。ぼく個人としては、たとえ同期バンドであってもクリックやドラム以外の音もしっかり聴いたほうがグルーヴが出ていい演奏が出来ると思ってるので、もはや必須です。
 
イヤモニ導入についてはまた別途記事にします。
同期バンドでなくてもイヤモニはお勧めですよー!

ライブや練習以外でも音響外傷になる可能性はある!

主な対策を書きましたが、当然耳栓やイヤモニをしないときに耳へダメージを与える可能性もあります。それが、「イヤホンで音楽を聴くときの音量」です。
 
ぼくが音響外傷になる前から思ってたことなんですが、みんな音楽聴くときの音量大きすぎませんか?!バンドメンバーもぼくよりみんな大きい音で聴いてて、耳痛いなぁ…って感じました。
 
これはアーティストに限らず一般の方も起こりうる現象です。さらにこれの厄介なところが、徐々に悪くなってる可能性があるってことです。
当然自分で音量調整してるので、耳が壊れるほどの音量では聴いてないはずですが、本当はそれだとダメージ受けるけど気にならない程度の音量で聴いてる可能性はあります。
 
こうなると治療もできないので、ほんと気をつけてください。

必ず耳栓しなきゃいけない!わけではない。

ぼくは個人練習、バンド練習やライブを観てるときはほとんど耳栓してますが、時たま外すこともあります。というのも、やはり生音じゃないと分からないニュアンスや気持ちよさってのもあるんですね。
 
これは個人的な話になりますが、ずっと耳栓&クリックで練習していた時、なかなか上手くならないなぁ…と伸び悩んでいました。
その後、生音を聴きながら練習することで急に「歌うようなドラムになったね」とか、色々認めてもらえるようになったんですね。
あぁ、なるほど、ちゃんと生音も聴かなきゃだめなんだ…と痛感しました。
 
なので、耳栓つけてないと絶対ダメ!とかではないです。ぼくも本当なら可能な限り生音で聴きたいです。
 
でも、「耳は消耗品」ということを忘れてはいけません。
以前習ってたドラムの先生も難聴気味で、「難聴のドラマーは非常に多い」と言ってました。
ドラムは電子音じゃなく、物理的に音量が出てしまうので調整しようがないです。練習すればするほど耳にダメージを受けるのは必然。それをどれだけ抑えられるかで、正常な耳をキープできるかどうか決まってきます。
 
音楽が好きで練習したり聴いたりしてるのに、それが原因で悪くなるほど悲しく、ショックなことはないです。耳は大事にしましょう。

耳栓がなければイヤホンでもOK!

うるさいくらい耳を大事にしろー、耳栓つけろー!って言いましたが、いや買うほどでもないし…っていうそこのあなた!普段使ってるイヤホンでも全然OKです。
 
とにかく耳に何か入れればかなりのダメージ軽減になるので、ちょっとでも耳疲れたな…とか、耳鳴りするな…ってなったらすぐつけてください!お願いします!

耳栓をしないで長時間練習する方法

「やばい、耳栓もイヤホンも忘れた」
 
「そうは言っても、俺は耳栓つけずに練習したいんだー!」
 
って人もいると思うので、そういう人達は以下の点に気をつけて練習するとダメージを減らせます。
  1. ハイハットは常にクローズ
  2. クラッシュ、ライド、チャイナ等のシンバルはかなり軽く叩くor叩かない
  3. スネアのスナッピーをOFFにする
  4. 右手でリズムを刻む場合はクローズハイハットやフロアを叩くか、フロアやロータムのフチを叩く

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ぼくは主にキックの練習をするときにこの形で練習してます。
耳に痛い音は鳴らないけど、キックの生音やスネアの微妙なニュアンスはしっかり聴けます。お勧めです。
とにかく金物が痛いので、それ以外を抑えれば耳栓をしなくても疲れないですね。

最後に

ぼく自身はちょっとビビリ過ぎかもなぁ…って思わなくもないですが、身を持って恐怖を味わったのでものすごーく気をつけてます。
 
最近ライブ好きの知人も音響外傷にかかって、かなり凹んでました。これ、なってみると想像以上なんですよね。風邪っぽいなぁ…みたいな感じで分かったりはしないので、常日頃気をつけなきゃいけないです。
 
手洗いうがいをしっかりする、と同じくらいに耳も大事にする!そういう意識を持つとアーティスト、ミュージシャンは長生きできるんじゃないでしょうか…!
 
今日はここまでっ