舞台役者やアイドルから学ぶ、バンドが取り入れたい3つのポイント
最近機会があって、舞台とアイドルの公演を観に行ってきました。
どちらも有名どころではなく、小~中規模の会場で行うものだったんで、バンドで言うとインディーズ的な立ち位置ですね。
とはいえ、ステージの上に立って表現する仲間としては非常に刺激になることや、勉強になることが多くて有意義な時間が過ごせました。
でもぼくはそれ以上に、すごくモヤモヤするというか、何とも言えない気持ちになったんですね。
何でだろう…って色々考えた結果、やっと腑に落ちました。
これは劣等感です。
ドラマーとしてステージに立つ自分や、なかなか売れない多くのバンド達と比べて、色々と負けてるところ、足りないところがあると感じたんです……!
ぐぬぬ……。悔しい……。
しかし凹んでるだけじゃ次に進みません。足りないとこがわかってるなら気を付ければいいだけです。
なのでぼく自身の今後のためにメモメモしておきます。ほかのバンドさんにも参考になればいいな…!
舞台を観て思ったこと
まずは舞台やアイドルを観た時の純粋な感想からいきます。
舞台を観に行ったのはここ4年くらいで4回~5回です。きっかけは、声優や舞台役者をやってる友人にお誘い頂いたことです。
普段積極的に観に行ったりはしないものの、演技ができる人は純粋にすごいと思うし、生で観る機会はあまり無いので二つ返事でOKしました。(実際バンドで演技力を活かしてる人もたくさんいるし、勉強にもなるかなと思いもあったけど!)
どの回も舞台会場は小さめで、キャパは30人~50人くらい。
とはいえ、印象的だったのは、観に行った舞台のすべてがほぼ満員ってこと。
恐らく友人や親戚、職場や学校の仲間などを誘ってると思われるので、客層はバラバラです。
それでも毎回満員になってるのは純粋にすごいと感じましたね。
バンドのライブなんて、企画によってはお客さん5人とか、むしろ出演者だけとか平気であるし…。
内容はお笑いあり、感動ありのコメディから、ギリシャ神話を題材にした悲劇もありました。
これらを観て最初に思ったのは、「全力感がすごい」でした。
正直言うと、演技がうまくないって人もいました。全体のレベルでも高いとは言えない舞台もあったし。
それでも、とにかく全力で練習してきて、全力で舞台に立っているってのがヒシヒシと伝わってくるんですよね。
手抜き感がないというか、下手とかうまいとか関係なく、舞台に立ったらプロって意識が全員持ててるというか。
それを観ながら、自分がいるバンドシーンを思い出すと「うーん…これだけプロ意識持ってステージたってるバンドって多くはないよな…」って考えちゃうんですよね…。
アイドルを観て思ったこと
アイドルは一緒にライブをしたことがあったり、大きい会場の裏方をやったりと色々な形で見てきました。
といっても、こちらも回数でいえば10回にも満たないけど。
つい最近観に行ったのは1年ほど活動していたアイドルの解散ライブ。
アイドルで一番印象に残るのは、やっぱりお客さんですね。
グッズのTシャツを着て、サイリウムやタオルを手に全力で踊り、声を出す姿…ステージより目立ってるぞ!
そして、アイドルの活動は何もステージ上だけはありません。
自分たちの出番が終わった後や終演後のお客さんとの絡み方が半端ないんですよね。というかむしろこっちが本番ってくらい。
会ったことある人もない人も関係なく、一人一人に笑顔で話しかけて、チェキやグッズのおすすめも忘れずにして、それをメンバー全員できっちりやる。
終演後の賑やかさはあまりバンドシーンでは見られない光景ですね(もちろん人気のあるバンドが出てれば別だけど。あとビジュアル系もかな?
お客さんとしてはむしろ終演後が楽しみで来てるっぽいけど、それだけの価値を提供できるってのはやっぱりすごいです。
この辺の違いに葛藤してる人は他にもいますね、やっぱり…↓
バンドに取り入れたいポイントとは?
冒頭でも言った通り、ぼくはこれらを見て劣等感を感じました。
客席が埋まる会場。
集中して見入ってる、または全力で盛り上がってるお客さんの姿。
終演後の賑やかさ。
ステージ上での全力感。
開演から終演までの完成度。
やってることは確かに違うけど、ステージに立つ表現者としてはものすごく悔しいなと感じまくる…。
じゃ、実際どんなところを見習ったほうがいいのか。または多くのバンドに足りてないのか、考えてみました。
1.ステージに立った瞬間から演出、と考えているか
舞台は人がステージに立った瞬間に空気がガラっと変わります。
あ!舞台始まった!ってのが一瞬で感じ取れるし、お客さんが全員舞台を見る姿勢になりますね。
アイドルは入場時からめちゃくちゃ笑顔を振りまいてて、ものすごーくお客さんと距離を縮めてから曲に入ります。
対してバンドはどうでしょうか。
BGM鳴らした後、ぬるっと入場して、ちょっと手を振って楽器もって、チューニング終わったら手をあげてBGM止めて、ジャーンって曲に入る。
このパターンが体感上、8割を占めてます。
その間に、お客さんを惹き付ける何かをやってるバンドは少ないです。
ここに、舞台やアイドル達との差を強く感じました。
もちろん、あえてそれを演出としてやってる分にはいいんです。始まるまでのちょっとした緊張感というか、間の使い方を狙ってる場合とか。
でも、多くのバンドは入場について真剣に考えきれてなく、とりあえずこの入り方でいっか、みたいな印象が強いんですね。
こういうと、「バンドなんだから曲で攻めてるんだよ!そこに力入れてどうすんだよ!」って言う人が少なからずいますが、考えが浅いです。
ライブっていうのは、これから演奏するバンドに興味を持って、聴く意識になってないと音や歌詞が頭に入ってきません。その場で聴いて、すぐ忘れちゃいます。
せっかくいい曲を演奏しても、興味を持って聴いてもらえなきゃ覚えてもらえないんです。それすらぶち破るくらいの曲と演奏があればいいですが、確率を高くするに越したことはないですよね。
そもそも、お客さんとしては曲が始まるまで暇になっちゃうんですよ。みんな同じ入場して、同じ曲の始まり方して。バンドマンとして見てても飽きちゃうんだから、お客さんはもっと飽きちゃうはずです。貴重な時間とお金を使って観てくれてるっていうのを再認識する必要があります。
やりかたはバンドそれぞれだろうけど、入場や、ステージに立った瞬間から演出と考えられてるかどうかってのは大きな差になります。
2.限られた時間に全力を尽くせてるか
ぼくが観た舞台は持ち時間30分程度のものから、1時間半くらいのものあります。が、どの公演も最初から最後まで全力で演じてるのが伺えました。
途中でお客さんからもらったキーワードを使ったアドリブシーンなんかもありましたが、気が抜けた感というか、ほけーっとしてるところがないというか。
アイドルは、曲を歌ってる・踊ってるときはもちろん、MCでもめちゃくちゃお客さんと距離を縮めようといろいろ話したり、想いを語ったりしてます。あとは物販のときとか。むしろそっちのほうがメインなんじゃないかってくらい←
対してバンドですが…演奏はしっかりやってても、MCになったとたん、全然話せなくなったり、身内ネタになっちゃったり、とりあえず煽るとかになっちゃったり。
最悪なのは「まだあんまり練習できてなくてミスっちゃうかもしれませんが…」的なのを話す人。論外ですよね。
さっきの入場の話ともかぶりますが、ステージに立ってから降りるまでの短い時間を、全力を尽くせてるかどうか。
こういう視点で見ると、微妙だなって思うバンドはたくさんいます。
何も一字一句言うことを決めるとかそういうんじゃありませんが、せっかくステージに立って自由にできる時間に想いを伝えなかったり、お客さんに楽しんでもらえないってのは非常にもったいないですよね。
対バンなんてだいたい25分~30分の持ち時間しかないんです。その一瞬くらい全力を尽くさないと。そして全力を尽くすための準備も全力でやらないと…。
3.ライブが終わった後の立ち振る舞い
舞台やアイドルは、公演が終わってから物販コーナーとかでめちゃくちゃ声掛けをします。
正直、引くくらいします。
感謝の気持ちを伝えるのはもちろん、チェキ撮ってください、次のチケット買ってください、グッズ買ってくださいっていうのも全力でやります。
もちろんこれが嫌いな人ってのも多く存在するはずです。
でも、その公演を見て、この人たちすごいな!かっこいいな!かわいいな!って思った人たちが声かけてくれたら、やっぱうれしいし、グッズ買う買わないにしろ、その日が絶対印象に残るはずなんです。
最初はイヤだなって思っても、話してみたら結構いい人だなって感じたり、来てよかったなって思ってもらえる何かが伝えられるかもしれません。
声掛けも、物販コーナーからするだけじゃなく、一人一人のお客さんに声かけたりしてるのが印象的でした。
対してバンド。うーん、むしろ終わってから物販コーナーに人いないとか多い…。(機材の片づけでそれどころじゃないこともあるけどね…)
声掛けも、やるバンドとやらないバンドが両極端ですね。
もちろん舞台とかと比べて声が掛けにくい雰囲気にはなってます。特に先輩との対バンとかだと、先輩のお客さんに声かけるとかになっちゃうし。
でも、ステージに立って演奏したときに目があった人とか、ちょっとでも乗ってくれてた人とか、そういう人だけにでも声掛けするとか、少しでも覚えてもらおうって意識が足らないんですよね。
ここでもきっと「俺らの音楽を聴いて気に入ってくれた人たちだけに認めてもらえばいい!」って人がいますが、今の時代それだけで売り込めるバンドは稀です。
実際にぼくも一時期、自分のライブが始まる前と終わった後で声掛けするってのをやってた時期があります。(ライブ始まる前に声かけしてるバンドは少ないのでオススメです)
で、その時に少ししか話してなかった人が自分たちのライブにリピーターとなってくれたり、直接声をかけたわけじゃないのにライブスケジュール見て遊び来てくれたりしました。
当時やってたバンドは解散しちゃいましたが、また別のバンドでライブするときも来てくれたりするし、今思えばあの時の声掛けが効いてたんだなぁ…って思います。
※途中でやらなくなったのは、先輩バンドに囲まれる環境になったから。今思えば遠慮せずやりまくればよかった…
もちろん、これを「営業するぞ!」って意識でやるとお客さんは離れてきます。
が、ほんとに自分たちの音楽が好きで、絶対楽しんでもらいたい!そしてそれができる自信がある!って状態になってれば、自然と声掛けができるはずです。
舞台やアイドルたちの立ち振る舞いは、その自信や思いがあっての行動に見えるから、純粋にすごいなぁと尊敬しますね。
環境などの違いが原因なのも否めない
とはいえ、舞台やアイドルとバンドではそもそも置かれてる状況が違うので、致し方ない部分もあります。
例えば舞台は脚本や演出、役者がそれぞれバラバラです。
当然、脚本家が脚本に特化して考えていればクオリティも必然的にあがるし、役者も演技がしやすくなります。
アイドルも事務所があって、方向性を固めた状態で活動してることが多いです。(ここは調べきれてませんが、そういう認識ですね。改めてアイドルに聞いてみたい…)
一方インディーズバンドは、すべて自分たちでやらなきゃいけません。
どのような方向性で攻めるのか、ライブの楽しませ方はどうするのか、楽曲は聴かせたいのか乗らせたいのか、それぞれのキャラを覚えてもらうにはどうしたらいいのか。
一部のバンドは事務所に入ってたりするので一概には言えませんが、フリーで活動してるバンドがほとんどなはず。
さらにはバンドの場合、ノルマを払えばライブができるという敷居の低さも原因の一つです。
舞台やアイドルは最低限のクオリティを保つために事務所とかが協力するし、聴くところによれば練習時間も相当なものです。近々で見た舞台は、開演の一週間前から毎日7~8時間練習してたみたい。
バンドに関しては、そもそも練習時間足りなすぎないか?と話題になることも多いです。クラシックやってる人なんかは毎日8時間練習とかあたりまえだけど、バンドは個人で毎日1~2時間、バンドで週1回3時間とか。
それでも出れちゃうし、お客さんも友達が多ければ呼べちゃったりするので。
そういう環境の差が出ちゃうのはしょうがないかなとも思います。
最後が熱量の差がものをいう
元も子もないこと言っちゃいますが、結局は自分たちがどれだけ熱量を持ってバンドに臨めるか、が重要ですね。
今回まとめたポイントも、ほんとに売れたいって思ってやってれば自然と考えてる、もしくは自然とやってることです。
声掛けとかやらないにしても、他のとこで勝負する方法を考えてたりするし、気が抜けたように見える部分も演出の一環としてやってたりします。
そういうのを見て、何も考えずに真似してもうまくいかないです。本質を捉えられてないから。これは音楽に限ったことじゃないけど。
もちろん、考えてから、意識してから行動するって決めちゃうと動きづらくなります。
なので練習もライブもまずはやることが大事なんですが、ほんとに売れたければそこから一歩踏み込んで考えながら行動しないと、厳しいんだよなぁ。
と、自分に言い聞かせてます←
最後に
今回観た舞台やアイドルに限らず、こいつらすげーな!とか、悔しいな!って思ったポイントは全部音楽に変換できます。
そうやって昇華してくことで、自分にしか出せない音、できない音楽が奏でられる。
現状に満足せず常に上を狙っていきたいですね。
今日はここまでっ