小説『アキラとあきら』あらすじと感想。有名作とは一味違う深みの作品!



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池井戸潤さん著者の『アキラとあきら』つい先日読了しました。
 
ドラマは見てないんですが、最近この本の存在を知って購入。
 
原作が書かれていたのはなんと10年近く前で、文庫で出たものの720ページと言う大傑作ながらグングン読み進めてしまうほど熱中しちゃいました…!
 
今まで読んだ他の作品によくある「不正してるやつを叩きのめす」という流れとは一風違う、人間味あふれる物語。素晴らしかったなぁ。
 
内容がとーーーっても深いので、時間の無い方でもパッと分かるようにあらすじや感想をまとめてみました!

 

『アキラとあきら』あらすじ

物語の主人公は、タイトルの通り二人のアキラ。
 
子供の頃に父親の工場が倒産し苦難を強いられ育った、山崎瑛(やまざき あきら)
 
大手海運会社の社長を父に持ちエリート街道を突き進んだ、階堂彬(かいどう あきら)
 
 
二人はそれぞれのきっかけで、産業中央銀行に入行する。
 
山崎瑛は、父親が経営していたような会社を救いたいという思いの為に。
 
階堂彬は、父親の会社の成功を陰で支えていた銀行員に強く惹かれ為に。
 
入行後の新人研修で行われた「模擬融資バトル」では二人のチームが対戦し、伝説になるほど優秀な成績を残した。
 
その後もそれぞれに苦難に直面するも正面からぶつかり、共にトップバンカーへと成長していく。
 
 
…ということで、池井戸さんお得意の銀行を舞台に、それぞれ環境が全く違うものの強い信念を胸に成長していく二人を描いていきます。
 
このあたりの描写はさすが池井戸さん、非常に丁寧でありながら飽きさせない構成になっていますね。二人の人間像をしっかりと想像できました。
 
二人の背景を描いただけでも非常にボリュームがあるんですが、これでも前半戦です。本編はここから!
 

家族と会社

彬の父、一磨は三人兄弟で、もともとあった海運事業の会社である東海郵船は一磨が社長だった。
 
そこからさらに他二つの事業をそれぞれ次男の晋(すすむ)、三男の崇(たかし)が社長として発足し、経営していた。
 
しかし、晋と崇で投資していた事業が波に乗らず、このままでは倒産も免れない。
 
そんな状態でありながら二人は反省の色ひとつ見せず、全ては時代のせい…いずれは必ず儲かるといって後には引かなかった。
 
さらにこのタイミングで、一磨が病に倒れ、亡くなる。
 
彬の弟、龍馬が後任の社長となるものの、経験不足や仲間のいない状態で、さらには晋や崇の策略により自身の会社を窮地に追いやってしまう。その心労から、龍馬までもが倒れた。
 
一流のバンカーとして活躍しているだけでなく、一磨の遺言によって東海郵船の株を大量に所持している彬。
 
残された社員や関係者は、なんとか彬に社長を継いでもらうように説得した。
 
紆余曲折はあったものの、家族を、そして残された社員を守るために、彬は銀行を退職し、東海郵船の社長に就任したのだった。
 

階堂家全滅の危機

晋と崇で投資していた事業はリゾート業で、当初の計画もむなしく多額の負債を抱えていた。通常であればこの事業がつぶれても、投資している会社だけで負債を抱えるが…彬が社長となった東海郵船も連帯保証人となっていた。
 
ようは、このリゾート業が失敗すれば、階堂家は全滅する。
 
そんな状況で、融資担当となった銀行員が、山崎瑛だった。
 
かつで同行でライバルとしてしのぎを削った二人が、銀行員と社長という立場で、力を合わせこの窮地を乗り越えていく。
 
 
…タイトルや育った環境などを見ると、二人のアキラが将来やりあうのかと思いきや、そうではなく、仲間として困難に立ち向かっていくんです。
 
これは予想外と言うか、今までと違う形だ…!と手に汗握る展開でした。
 

明確な悪者がいない珍しい作品

池井戸さんの作品でいつも爽快なのが、「こいつはひどい」「叩き潰したい」みたいに感じる明確な悪者がいて、最終局面で悪役がとっちめられるところ。
 
しかし『アキラとあきら』に関しては、その悪者がいないんです。
 
いや、厳密にはいるんですけど、うーん…ラスボスがいないって感じ。
 
中ボスが集まって色々やらかしたせいで、問題が複雑になりすぎた。なので誰の手にも負えず、誰のせいにもできない状況になってしまった、というところでしょうか。
 
二人のあきらの育った環境や今いる境遇に焦点を合わせ、苦難を乗り切っていくところを楽しんでいく作品ですね。
 
爽快感というよりは、達成感かな。読み終わったあとは「よく…よく頑張った…!泣」ってなります。
 
これはこれでグっとくる…!
 

最後に

原作は読み終わったので、ぼくはこれからドラマ見直してみます。果たしてこのボリュームをどうやってドラマにしたのか見もの…。
 
先に見ちゃった人も、是非原作をチェックしてみてください。オススメですよー!
 
 
今日はここまでっ