売れないものを売るのが営業?それ、違うぞ!?



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「最近うちの上司が営業努力が足らないってうるさくてさ……」

「あーわかる。そんな売れる製品じゃないのにノルマノルマって、耳にタコできるわ…」

"売れないものを売るのが営業だ"とか言うけどさ、それちょっと違うよな…」

最近、夜の電車でこんな会話を聞きました。
 
売れないものを売る。
 
これ、ぼくも前の会社でよく聞きました。
会社として経営する以上、自社の製品やサービスを売らなきゃいけないのは分かります。
 
でも、売れないものを売るのが営業の仕事っておかしくない…?
 
商売って、そういうものじゃないだろ!
 
今日はそんなお話です。
※少し専門用語も入りますがご容赦ください!

過去のお話…自社の顧客向けに新規事業を開始

少し、ぼくの過去のお話をします。
 
ぼくが前に働いてた会社・部署では、PCやプリンタ、サーバなどの機器を搬入やセットアップしたり、社内LANや拠点間ネットワークの構築をやっていました。広く言うとインフラエンジニア、ですね。
 
けど、それだけじゃ食ってけないってことで、新規事業として仮想サーバ・デスクトップ・アプリに手をつけ始めました。(まぁこれもインフラなんだけど)
 
今となっては当然のように使われてる技術だけど、4~5年前の中小や零細企業はそこまで手をだしてなかったんです。
 
ブラック企業だったので、中堅どころはみんな辞めちゃってて、残ってるのは若手のぼくとおじさんたち。おじさんたちは新しいことやるの嫌いな人ばっかりだったので、エンジニアではありながら営業含めてぼくが1から一人でやってました。
 
当時の仮想化と言えば「VMware」「Citrix」というメーカーのほぼ2択でした。仮想サーバに関してはMicrosoftも台頭してきたな、って時代です。(最近のは調べてません!←)
 
ただ、仮想化のメリットは、ある程度の機器台数や企業規模がないと受けきれません。規模が小さければ仮想化の導入コストのほうが高くつくため、小さい企業は首を縦に振ることはありませんでした。
 
自社のお客さんのほとんどが零細企業だったんで、これは売れないな…と判断。
 
そこで色々調べたところ、主流のメーカーより価格を押さえ、中小・零細企業をターゲットとした仮想化の製品を発見しました。製品のメリット、自社の主要なお客さんの環境などを踏まえお互いに強みが生きるという判断になり、パートナー契約を締結。
 
いくつかターゲットとなるお客さんは目処がついてたので、営業し、受注から構築まで無事終わりました。
 
その製品を使ってパートナーとして構築まで行ったのは自社が初だったので、元々の顧客向けや一般企業を向けの説明会や事例紹介なんかも行って、更なる顧客獲得を目指しました。
 
しかし、企業は実績や名前を重視するもの。主流のメーカーも機能を抑えた低価格モデルがあったり、逆にめちゃくちゃ使える機能を搭載したり、実績をじゃんじゃん増やしたりするのもあって、なかなか新しいお客さんを得るには至りませんでした。
 
そもそも仮想化の恩恵を受けにくい小企業向けの製品はなかなか売れず、そのまま尻すぼみに。
 
そんな状況でしたが、ぼくが退職することが決まって、この製品を使ってるのはぼくだけだったので、社内向けに説明会やデモを行うことになりました。(この時点ですでにおかしいけどね…)

やる気で売らせようとする上司

 パートナーの企業とも仲良くなって、自社の顧客に会ったパッケージ製品なんかも考えたりして色々準備してました。それらも踏まえて、実際に社内で環境を構築。使い勝手や、メリット・デメリットについて説明しました。
 
価格が安い分、機能は当然他のメーカーより劣る。その他もろもろ含めて、本製品は中小・零細企業向けの製品ですよってのも伝えて、社内説明会が終了。
 
んで、しばらくしてから上司から一通のメールが届く。
 

今日は説明会ありがとう。
でもひとつ気になったので言わせて。

説明会でしきりに「中小・零細企業向け」って言ってたけど、周りの人もそう思い込んじゃうから止めてくれないかな

まだ売り込みにも行ってないのに、なんでそんなこと分かるの?売る本人がそういう気持ちだから売れないんじゃないの?

やる気が足らないよ。そういう姿勢じゃこの先もうまくやっていけないよ。

売れないと思ってるものも売ってかなきゃ食ってけないんだよ。分かってる? 

もう会社離れるからって好き放題言ってるみたいだけど、立つ鳥は後を濁さないで欲しい。

もうね。アホかと。ツッコミ所多すぎて泣きたくなりましたよ。最後の一言とか大人気ない…。っつーかこの場を濁してんのはおまえだーーーっ!!(せめて直接言ってこいよ…)
 
これでも会社の中では一番仮想化について勉強して、市場調査や他メーカーの事例なんかも調べて、その上で「自社の顧客に仮想化製品は向いていない」「もっと大きい企業に売るなら主要メーカーのほうがいい」って話したんですよ。
 
にも関わらず、そんなのは全て無視して「やる気が無い」といい放ち、売れないものを売ってこいという。
 
つーかそもそもぼく営業じゃないし!今の立ち位置おかしいからね!!!
 
ぼくが売ったお客さんについては自社ホームページにも、パートナーのホームページにも実績として載っています。そして、その後増えた様子はありません。理由は…容易に想像できますね。

欲しいものを売るのが営業の仕事

ぼくは営業として働いたことはありませんが、前職も今の会社も営業と同じような動きもしています。おそらくSIerで働いてるとそういう人は多いんじゃないでしょうか
 
なぜこの立ち位置の人がそう動くか。それはお客さんが今何に困ってて、何を欲してるのかが分かりやすいからです。
 
商売の基本は「相手が欲しがってるものを提供する」ことです。
 
それを聞き出す、お客さん自身が気付いていないような欲しいものを掘り起こすのが営業の仕事であって、間違っても「いらないけど、ここまで言うなら買うか」って思わせることじゃありません。
 
残念な営業は「自社の製品を売る」に意識が行き過ぎて「お客さんが欲しいものを売る」って考えれてないんですよね。
 
ちなみに、口がうまいといわれる営業は「欲しいと思わせる」話し方ができるってことです。売れないものを売れってこういう思いで発言してる人は結構いるんだろうけど、これ商売の本質とは外れてるからなぁ。…(これを悪用しているのが詐欺師だし)

最後に

もちろん仕事である以上、売らなきゃ食ってけません。
 
でも、そもそも欲しい人がいないものを売ろうとしたって売れないので、それは営業の仕事じゃない。市場調査や製品製作という段階での問題です。それを押し付けてる会社が多すぎる気がします。
 
ものが売れない会社は、売り方だけじゃなく製品やサービスについてもよく検討しなきゃ。
 
今日はここまでっ