『BLUE GIANT』あらすじと感想。バンドマンは読まなきゃ損!※ネタバレあり
マンガ大賞2016で見事第3位を勝ち取ったジャズ漫画『BULE GIANT』。
これね。
ここ数年の出てきた漫画で一番心を打たれました。
バンドやってるけどジャズなんか全く分からない…そんなの関係なく、同じアーティストとして奮い立つ場面もあれば、人として尊敬できるキャラクターもたくさん登場する漫画です。
こんな傑作は読まなきゃ損!特にバンドマンはね!
ということで、あらすじと感想いってみます…!
『BLUE GIANT』あらすじ
主人公は高校3年生の宮本大。バスケ部だった彼は友達の近藤周平にジャズバーへつれてって貰う。そこで大はジャズに心を打たれて、サックスを始めることにしました。
手に入れたサックスを元に、誰の手も借りず、ひたすら毎日川辺で練習しまくります。色々なアーティストの曲を聴き、ただただ無心で練習を続ける毎日。
その大のサックスは、友人の心を突き動かすほどの力を秘めていました。
ただ、その道のりは当然簡単ではありません。
機会を頂いてジャズバーでセッションすることになった大。
ただただ全力を出して少しでもお客さんの心に響く何かを…そう考えて演奏したものの、お客さんからは「うるさい!」と罵られる。
周りからの哀れみの視線、自分自身に対しての不甲斐なさ…けども大はまったく凹みません!
ジャズに対する姿勢や考えや、内に秘めた力などを大の演奏から感じた元ジャズプレイヤーのおっさんは、彼にサックスを教えることを決意。
技術は全然足りてないものの、その熱い想いがぶつかってくる大の演奏に、師匠のおっさんだけではなく、聴衆は一気に彼に惹き込まれて行きます。
そんな大が、世界一のサックスプレイヤーを目指す…というお話。
ちなみにタイトルのBULE GIANTとは、世界一輝くジャズプレイヤーのことです。
『BLUE GIANT』の魅力
大の音楽に対する真っ直ぐな姿勢
大はほんとにジャズを愛していて、その真っ直ぐな姿勢からとにかく前向きに努力を重ねていきます。周りがなんと言おうと、俺は世界一のジャズプレイヤーになる…!それを心の底から思っていて、行動に移していきます。
今の世の中って、でかい夢を語って走る人を嘲笑する雰囲気があるじゃないですか。バカにされちゃうんじゃないかな…と思って夢を諦める人も少なくないです。そんな心に大の気持ち、行動はめちゃくちゃ突き刺さってきます。
立ちはだかる壁がめちゃくちゃリアル
バンドマンってお金が無いイメージが強いですよね。彼らも当然お金はなく、必死にバイトして食いつなぎながら音楽活動をしています。
そしてお金がないのはバンドマンだけではなく、会社もです。昔は高く売れてたレコードも今や安売りセール。業界自体が衰退し、変わっていく。そんな中で、ジャズを愛する人達がどうにかしてこのシーンを盛り上げようとする。
なんか全然夢物語じゃなくて、リアルがそこにありました。だからこそ、努力してる人達を応援したくなる。漫画越しでもその想いや音が伝わってきます。
努力は必ず誰かが見ているという現実
大のバンドは三人編成です。
サックスに惚れこみ、3年間、1分1秒を音楽に捧げて力をつけてきた大。
類まれなるセンスとそれを4歳から磨き上げたピアニスト、沢辺。
そしてドラムは、なんと音楽経験は一切無く、二人に出会ってから初めてドラムを叩いた玉田です。
音楽には絶対センスが必要、そして駆け上がるにはスピートが大事と考えている沢辺は玉田の加入を頑なに拒んでいました。
しかし大は「その敷居の高さがジャズを駄目にしている。やりたい気持ちがあるならやるべきだ」と玉田と一緒にやる思いは譲らず。
そんな二人を見ていた玉田は自分の力不足は重々承知しながらも、生活費を削って電子ドラムを買い、ドラムレッスンにも通い、タダひたすら練習に明け暮れました。もちろん、その程度で二人の実力に追いつくなんて全く出来ていません。初めてお客さんを呼んだライブでも、自分の力の無さに悔しさを滲ませるしかありませんでした。
その後もライブを重ねて、徐々にお客さんが増えていったとしても、演奏後に話しかけられるのは大か沢辺だけ。でもそれが当然だと玉田は思ってました。
しかし、ある常連のお客さんが玉田に声をかけます。
「ボクは君のドラムを、成長する君のドラムを聴きに来ているんだ」
死に物狂いで努力した結果がたった一人にでも届いて、認めてもらえる。これほど嬉しいことはないです。こういう繋がりや嬉しさが、音楽を続けられる利用のひとつだとぼくは思います。
『BLUE GIANT』はとにかく心を打たれるシーンだらけ
他にも魅力的なところはたくさんあります。
大がいきなりジャズプレイヤーを目指すという思いを、一切の迷い無く「思いっきりやれよ!」と背中を押した父。
事故で無くなった仲の良い犬に向けて、大が生まれて初めて作曲し、飼い主にその音楽を届けるシーン。
過去に「うるせぇ!」と罵られたお客さんの前で再び演奏し、「ギャフン」と言わせた瞬間。
とにかく心を打たれる、感動するシーンだらけです。音楽の力と、それに向かって全力で取り組む人達の魅力がギュッッッっと詰まってます。
その魅力は単行本の1巻だけでもめっちゃくちゃ伝わってきます。是非、読んで頂きたいです…!
最後に
バンドマン視線で行くと、果たして自分は彼らほど音楽に全力だろうか…ってイヤでも考えることになります。
けど、それと同時に「もっと全力でやりたい…!」と前向きにさせられる漫画です。
音楽だけじゃなく、なにかに打ち込んでる人を勇気付けられる漫画…素晴らしいですね。
週刊誌では最終話を迎えていますが、『BLUE GIANT SUPREME』と名前を改め続いているようです。これからも楽しみですね…!
今日はここまでっ