クリック聴きながらでもノリは出るよ!ドラマーが意識すべき3つのポイント
ここ数年のライブシーンでは、バンドサウンド(生楽器)だけではなく、同期(実際には演奏していない音)を流すバンドがものすごく増えてきてます。
メジャー・インディーズ問わず、たくさんのアーティストが同期を利用したライブを行ってますね。
ぼくが経験したバンドのほとんどは同期を使ってるし、仲良くしてるバンド仲間も同期を使ってる人が多いです。
そして、同期を流すライブを行うには、ドラマーがクリック(メトロノーム)を聴きながら演奏する必要があります。
生演奏してない音と自分達の演奏を合わせなきゃいけないので、リズムの要であるドラマーがずれないように、100%クリックを聴く必要があるんですね。
で。クリックを聴いてドラムを叩くっていうと、
「グルーヴ(ノリ)が出なくない?」
「演奏が機械的になるじゃん!せっかくのライブなのに!」
「楽器隊と合わせてる感じがしなくてイヤだ!」
みたいな話が出てくるんですね。
特にライブの魅力は、その一瞬にしか生まれない音だったりノリだったりするので、まぁ分からなくはないです。
あとは、聴いてる側の感想なら、それもいいでしょう。ドラマーの力不足なだけです。
しかーし!
これをドラマーやバンドマンが言ってはならんのです!
クリック聴きながらだってノリは出せるんです!
出ないのは単純に練習不足なだけなんです!
じゃ、一体どういう練習をしたらいいのか。何を意識したらいいのか。
ぼくが普段意識している3つのポイントについてお話します。
①自分の音をしっかり聴いて、ノる
「はぁ?何を当たり前のことを言ってるんだこいつ?!」
って思った人!ここかなり重要ですよ!
これはどのパートも当てはまりますが、練習やライブで自分の音が聴こえないと非常に演奏しづらいです。その影響でピッチやリズムずれなどが発生します。
そしてドラムはクリックを聴く関係上イヤホンをするので、外で鳴ってる音が他のパートより聴こえづらくなります。
更に、同期と絶対ずれちゃいけないって意識から、クリックを爆音に流して叩く人もいます。※ぼくの周りのドラマーも、イヤホンから流れる音(返し)はクリックのみを音量大の人が多かったです。
こうすると、ドラマーはどんどん自分の叩いてる音が聴こえなくなります。
クリックしか聴かずにやってる状態ですね。というか、クリックに合わせて演奏しちゃってます。
クリックを"聴いて"演奏するのと、"合わせて"演奏するのでは大きく違います。
バンドは生演奏してる自分達が主役なので、クリックはあくまでも"ガイド"、ようはズレた時に元に戻る為だったり、曲に入るタイミングを合わせるためのサポートの音なんですね。
なので、クリックに合わせると、冒頭のように「機械的になる!」とか「生演奏っぽくない!」ってなっちゃいます。
じゃーどうするかって言うと、自分の音をしっかり聴いて、ノることです。
音を聴くだけじゃダメです。ノるんです。
「このドラムに楽器隊やボーカルが重なったらかなり気持ちいいなー」と自分で感じるドラムを叩くんです。
そのノリが他の楽器隊やボーカルに伝わることで、生演奏ならではのノリが生まれます。
②クリックは(ほぼ)聴かない
自分の音をしっかり聴くのはもちろんですが、当然周りの楽器隊やボーカルの音を聴く必要もあります。
というか、ドラムはバンドの立ち位置としては指揮者も兼ねてるので、全パートの音を拾えてるのが理想です。
※ちゃんと拾うには耳をかなり鍛える必要ありますが!参考までにこちらもどうぞ▼
そーすると、前述のように、イヤホンからクリックを爆音で流す、またはクリックと自分のドラムの音しか聴こえない状態ってのは理想的ではありません。
ということで、もういっそのこと、クリックをほとんど聴こえなくしちゃいましょう!
「おいおいアホかよ!クリック聴かないとか!絶対ズレるやん!」
もちろん、全く流さないわけではありません。
ただ、可能な限り小さくして、他のパートの音も聴けるように最大限努力するんです。
ちょっとばかし、ぼくの過去の話をしますね。
ぼくがドラムを独学で始めて2年ほど立ったとき、「そろそろ伸びなくなってきた…基礎叩きなそう」と考えてドラムを習いにいきました。
ある程度経験者だったので、まず講師に渡された譜面にそって軽く演奏します。
そこで講師に「すごく機械的なドラムを叩くね…」と言われました…。
前のバンドでサポートとして一時的に入ってくれたベースの人にも「ユーキさん、ちゃんと周りの音聴いてます?もう一緒に少し合わせましょうよ」って言われました…。
その頃のぼくは、ひたすらクリックに合わせて基礎連をしまくって、一切のブレがない演奏を目指してました。それが当たり前に出来てから、初めてノリとかグルーヴとか言えるかなって思ってたので。
ただ、あまり評判は良くなかったですね、まー下手でないよね、くらいな感じ。
そんなことが続いてから、「もう少し周りの音を聴きながらやろう」と意識を変えて、そのために自分が聴いてるクリックの音量を下げたんですね。※最近はイヤモニを導入して他のパートが直接イヤホンから聴こえるようにもしました!
そこで気づいたのは、クリックがあまり聴こえなくても、ほとんどずれないくらいに練習した上で他のパートと合わせると、ものすごく気持ちの良い演奏ができるってことでした。
クリックはあくまでガイドであって、合わせるものじゃないんだなーって痛感しましたね。
③ドラムが他のパートに合わせる
最後はこれ。他のパートがドラムに合わせるんじゃなくて、ドラムが他のパートに合わせにいきます。
「いやいやいや。クリック聴いてるのドラムで間違いないリズムじゃん。ドラムに合わせるのが当然じゃない?」
ぼくもずーっとそう思ってました。
この考え自体は間違ってないんですが、一歩レベルアップするには少し頭を柔らかくする必要があります。
演奏したり歌ってる人は当然人間なので、100%完璧なリズムに合わせられるってことはありえません。
音楽は、それぞれの持ってるリズム感、ノリ、その時の感情で変わる勢いなどなど、様々な要因が重なって音になります。
このわずかなズレがボーカルと楽器隊でガチっとハマった時に、いいノリ・グルーヴが生まれるんですね。
そして、バンドの指揮者でありリズムの要であるドラムが他のパートに歩み寄ることで、このズレが気持ちよく、ガチっとハマるんです。
具体的には、以下のような意識で演奏しますね。
- ベースやボーカルのリズム感(前ノリ、後ろノリ)を把握して合わせる
- アクセントに注目する
- 演奏してる姿からノリを感じ取とる
特にライブのときは、全パートと観客席の全てが見えるドラムが一番その瞬間の雰囲気を作りやすいんです。
なので、ドラムだけを見て演奏するんじゃなくて、顔を上げて周りを見ながら演奏するのも非常に重要ですよ!
最後に
大前提ですが、クリックを聴いて、ズレない演奏ができるようにする練習は必須項目です。
これはドラマーだけじゃなく、全パートに共通します。
そしてこの精度を上げつつ、周りの音を聴きながら演奏することで、どんどん気持ちのいいノリが生み出されていきます。
クリックというとイヤがる人も多いし、無いほうがいいノリが生まれる!って考える人も多いですが、ぼくはクリックとお友達になったうえで利用してやるのが一番いいノリが生まれると考えてます。
ちょっとでも思い当たる節があったり、参考になる点があれば是非取り入れてみてください!
今日はここまでっ